ジャズ映画『JAZZ SEEN カメラが聴いたジャズ』ジャズ愛好家でもある写真家クラクストンの半生を描いたドキュメンタリー映画
ジャズ映画『JAZZ SEEN カメラが聴いたジャズ』
「JAZZ SEEN カメラが聴いたジャズ」(原題:JAZZ SEEN : The Life And Times Of William Claxton)は、2001年のドイツ制作のドキュメンタリー映画。監督はジュリアン・ベネディクト。製作はマリナ・ミュラー。撮影はマシュー・J.クラーク。音楽はドイツのトランペッター、ティル・ブレナー。
JAZZ SEEN カメラが聴いたジャズのあらすじ
少年時代に音楽雑誌などのスクラップでその感性を育み、その才能を見抜いた母親からカメラをプレゼントされ、カメラマンを目指したウィリアム・クラクストン。多感な少年期にジャズにのめり込んだクラクストンは、青年になり次第にレコード・ジャケットの写真を手掛けるようになる。やがてウェスト・コースト・ジャズを代表する有名レーベルで、写真とデザインの両方を手掛けるようになったクラクストンの名声は、50年代ウェスト・コースト・ジャズの台頭と共に一躍世界的なものとなっていく。映画監督のジョン・フランケンハイマー、俳優のデニス・ホッパーら著名人のコメントを織り込みながら、彼の撮った作品も紹介し、その偉大な足跡を辿ったドキュメント。
感想
ジャズのモノクロ写真やレコードジャケットには、言いようのない独特の世界観が溢れています。その第一人者であるカメラマン、ウィリアム・クラクストンのドキュメント映画ですが、ここに紹介される映像は、ウエスト・コースト・ジャズの中でもとりわけ優れた彼のアートワークと、インタビューや過去を振り返るイメージフィルムで美しく紡がれた、写真集のような映像です。ジャズミュージシャンばかりでなく、俳優のスティーブ・マックィーンの写真や彼とのエピソード。そして50年~60年代に掛けての名作秘話など、写真集にさまざまなエピソードを付け加えたドキュメントで紹介される映像です。そしてその映像を際立たせている、ドイツのトランペッター、ティル・ブレナーの音楽が素晴らしく、美しいフリューゲルホーンの音色が映像の随所に流れ、ドキュメンタリーらしからぬ感動を誘います。音楽映画とも写真集とも違う独特な世界が展開される、何とも魅力的な作品に仕上がっており、これからジャズの世界に触れてみようというきっかけにもなる魅惑の映像が、80分の短い時間の中に宝石のように輝き散りばめられたフィルムエッセイです。