おすすめのジャズ映画 『ラウンド・ミッドナイト』デクスター・ゴードンの演奏と演技が光るアカデミー賞オリジナル作曲賞を受賞

ジャズ映画『ラウンド・ミッドナイト』

「ラウンド・ミッドナイト」(原題:Round Midnight)は、1986年のアメリカ・フランス合作映画。 監督はベルトラン・タヴェルニエ。主演のデール・ターナー役に、テナーサックス奏者の大御所デクスター・ゴードン。共演の青年フランシス役にフランソワ・クリュゼ。ニューヨークの興行師役に映画監督のマーティン・スコセッシ。音楽監督はピアノ、キーボードのハービー・ハンコック。出演ミュージシャンはハービー・ハンコック、ボビー・ハッチャーソン、ビリー・ヒギンズ、ウェイン・ショーター、ロン・カーター、トニー・ウィリアムズ、フレディ・ハバードなど、ジャズファンなら目を疑うような超豪華メンバーがライブシーンに出演しサポートしている。主役のデクスター・ゴードンは、映画初出演にして、ミュージシャンながらアカデミー賞主演男優賞にノミネートされ、ハービー・ハンコックはアカデミー賞の作曲賞を受賞した。

ラウンド・ミッドナイトのあらすじ

1959年のパリ。アメリカのテナーサックス奏者デール・ターナー(デクスター・ゴードン)がジャズクラブ・ブルーノートに出演するために訪れた。長年に渡りサックスの巨人として君臨してきたデールの来仏は、パリのジャズファンを狂喜させた。デールを迎えたのはブルーノートの音楽監督兼ピアニストのエディ(ハービー・ハンコック)や、ビブラフォンのエース(ボビー・ハッチャーソン)といった、デールにとって気心の知れた仲間たちと、クラブのオーナー、ベンであった。クラブは久々の大物出演で連日大入りを果たす。そしてデールの音楽を、雨に打たれながら外で耳を傾ける若者がいた。彼は貧しいグラフィックデザイナーのフランシス(フランソワ・クリュゼ)。安アパートで待つ幼い娘ベランジェールにその感激を語り聞かせた。フランシスは妻と別れ男手ひとつで娘を育てていた。やがてデールとフランシスは意気投合し、英語が解らない娘も彼に親しんでゆく。しかしデールはアル中で、酒が入ると自分を見失い彷徨う性癖があった。彼の身を案じたフランシスは、デールを家に引き取り面倒を見ることにした。フランシスの献身的な世話に感動したデールは自ら酒を断ち健康を取り戻し、暫く穏やかで平和な暮らしが続いてゆく。デールはフランシスのことを「レディ・フランシス」とニックネームを付けた。やがて別れの時が訪れ、デールがニューヨークヘ帰る日を迎えた。パリ在住のジャズメンを招き、ファミリーパーティが開かれ、待望のスタジオ録音やリヨンへの旅など多くの思い出を残した。フランシスはデールに付き添う形で数日間彼と共にアメリカへ同行する。

アメリカへ戻ったデールはニューヨークのクラブへ出演するようになり、ビジネスライクな演奏活動が続く中、14歳になるデールの娘も彼の元へ現れたが、どうもよそよそしく互いに馴染めない様子だった。そしてデールが泊まるホテルに、昔馴染みの麻薬の売人が姿を見せ始め、フランシスは不安に駆り立てられる。

やがて数日間滞在したフランシスもパリへ帰る日を迎える。老いたデールがニューヨークで再び孤独な生活を強いられるのがフランシスの気がかりだった。別れの前日、ハドソン川の畔を散歩する二人は別れを惜しむ。パリへ帰る飛行機の切符を二枚取っている事をさりげなくデールに伝えるフランシス。「レディ・フランシス。優しさが足りない…世の中には」とデールは感慨深くフランシスに言葉を残し、翌日に空港でデールを待つフランシスの前に彼は姿を現さなかった。そしてパリへ帰り、所在なく部屋で過ごすフランシスにデールの訃報を告げる電報が届く。想い出の8ミリフィルムの中で微笑むデールを、涙で見送るようにフランシスと娘は寄り添いずっと眺めていた。


【感想】

何と言っていいのか解らないような感動があります。恐らくデクスター・ゴードンのオーラから来るものなのでしょうが、演奏をしているときも、アパートで過ごすときも、彼の動きひとつひとつに重みがあり、セリフの端々に聞かれるフレーズが音楽みたいに心に染み入り、それを切り取るカメラワークが絶妙であり、ジャズに興味のない人でも充分心に残る作品だと思います。特にリヨンの海岸をフラスシスとその娘とデールが、三人で散歩をする風景の美しさは絵画のようであり、パリの町並みやライブの演奏シーンも美しさに満ち溢れており、随所に流れてくるハービーハンコックの音楽が、その映像に拍車を掛けるように深く響いて心が揺り動かされます。音楽映画という枠を超え、一人の音楽家の人生を深々と綴った名作と言えるでしょう。

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